アジサイは梅雨の時期に開花するためか、雨にもよく似合う花でもある。花屋の店先では、ハイドランジアという英語名で販売されている新品種も多い。英語名は学名からとったもので、もともとはラテン語で「水の器」という意味で、水を絶やすと枯れやすいためともいわれている。
半円球に花を咲かせるおなじみのアジサイは、もともと日本原産のガクアジサイを西洋で品種改良したもので、西洋アジサイとも呼ばれる。
アジサイの名所としてよく知られているのが、鎌倉の明月院。境内には2500株のアジサイがあり、ニュース番組には必ず登場する季節の定番。全国各地にアジサイ寺と呼ばれる寺院は数多く存在し、県内では日蓮宗の本山・本土寺(松戸市)が有名で、こちらでは1万株のアジサイが花開く。南房総でアジサイの名所といえば、まず麻綿原の名があがる。
麻綿原高原・天拝園
大多喜町から鴨川市にまたがる標高300メートルを超える房総半島の高地にある麻綿原高原。その中にある妙法生寺(大多喜町)の境内に咲くアジサイがいわゆる麻綿原のアジサイ。天拝園と名付け、昭和20年代の中頃からアジサイの植栽が始められ、現在は約2万株が植えられている。千葉県内でも本土寺と競うアジサイの名所だ。こちらも、アジサイ寺と呼ばれ親しまれている。いろいろなルートがあるが、国道128号の天津小湊駅近くから内浦山県民の森を抜けていくルートがおすすめ。国道から約10キロ。車で20分ほど。ただし、道はどのルートも狭いので要注意。見頃は7月上旬から下旬。
日運寺
南房総市加茂(旧丸山町)にある日運寺も近年は、アジサイ寺とも呼ばれ、この時期多くの参詣者が訪れる。仁王門をくぐり、参道の両脇や本堂の裏山一面に約2万本のアジサイが植えられている。すでに五分咲き程度に開花している。見頃は7月上旬から中旬。
真野寺
真野の大黒様として多くの参詣客を集める真野寺は、サクラやサツキなど、季節の花が咲く「花の寺」としても親しまれている。境内には約3000本のアジサイが植えられており、山間の閑静な寺院にふさわしく梅雨の時期は、この季節ならではの趣のある場所となる。やはり見頃は7月中旬頃まで。日運寺からは、車で5分ほどの場所なので、あわせて訪れてみては。
円蔵院
料理の神様を祀る高家神社の近くにある円蔵院(南房総市千倉町北朝夷)。かつては安房でも一、二を競う巨刹といわれており、本堂はその名残をとどめている。境内には数は少ないながらアジサイが植えられている。古刹ならでの雰囲気をもった場所でもある。 |