金谷といえばまず思い浮かべるのがフェリーボートと鋸山。かつては、鋸山から切り出した石は房州石として重宝されており、石の産地として栄えていました。そんな金谷の歴史と文化を背景に生まれたのが「金谷美術館」。南房総の観光スポット「ザ・フィッシュ」を運営する富洋観光開発社長で、美術館の理事長を務める鈴木裕士さんが私費を投じて建設した本館は房州石がモチーフ。奥行き感があり作品の迫力を堪能できる第一展示室、広がりを感じるスペースが特徴の第二展示室、第三展示室では作品をまぢかに感じられるよう工夫されています。大きな窓から自然光を取り込むラウンジは、鋸山を眺めながら、ゆったりとできる空間になっています。別館の「石蔵」は昨年12月に国の登録有形文化財に指定された歴史ある建造物。
設立のきっかけは、数年前から「石と芸術のまち金谷」としてまちおこしの活動に取り組んできた美術鑑定家の中野雅宗さんから「地域の活性化とともに日本の美術を世に広め遺して欲しい」と、約千点にもおよぶコレクションの寄贈を受けたこと。あわせて多くの美術愛好家からも所蔵品の貸与を受け、貴重な作品が集まってきたのだそうです。
日本画や書、陶器などの膨大なコレクションから、オープン当初は、俳人小林一茶や鋸南町出身の浮世絵師菱川師宣、躍動感ある虎画を描く大橋翠石などの作品が展示されます。
「まちのみんなで作品を守り、身近で親しまれる美術館にしたいですね」と鈴木さん。13日はボランティアが集まり、芝を植えたり中庭を整えたりと、まちのみんなで美術館づくりが行われます。20日(土)から22日(月・振休)の3日間には、「ナイト・ミュージアム」を開催。金谷の「竹灯篭まつり」に合わせて、20時まで開館時間を延長。「町の人の心がひとつにまとまる拠点になれば」と、地元文化やまちづくりのシンボルとしての期待も高まる美術館です。
●開館時間
10時〜17時(入館は16時30分まで)
●休館日 水曜日(水曜日が祝日の場合、木曜日)
●入館料 一般(大学生含む)800円、中・高校生500円、小学生200円、小学生未満無料
問い合せ先/金谷美術館 (地図)
TEL/0439・69・8444
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