南房総生活情報誌「クリップ」

No.170

〈掲載日:2006年8月12日〉
特集・南房総で見つけたトロピカルフルーツ
館山市で栽培に成功、今年初出荷して話題に
森宅さんの
「マンゴー」
千葉県初の本格マンゴー栽培にチャレンジしている森宅さんご夫妻。

落果しないようネットにつつみ完熟するまで丁寧に育てられる。
 「梅雨が長くて7月は日照不足気味で心配したけど、甘さと酸味と水分のバランスのいいものができたよ」。館山でマンゴーの温室栽培に取り組む森宅俊男さん。7月下旬からの収穫期も終盤を迎えています。
 トロピカルフルーツの定番として人気のマンゴー。フィリピン、メキシコなどの外国産、国内では、九州や沖縄産が有名ですが、千葉県内で商業ベースの本格栽培は初めてなのだそうです。
 地元の洋菓子店などからも商談が舞い込んだという大注目のマンゴーは、糖度も高く最高級の品質。
「お天道様にあてるのが一番だ」と樹上で自然完熟させるスタイルで、これには、ひとつひとつの実をネットで包み、落果しないようひもで固定しています。
 千個を超えるマンゴーの実を丁寧に扱うには手間隙を欠かせません。
 また、害虫のハダニが発生しやすいため、天敵となるチリカブリダニを温室内に入れ、より自然な環境をつくり、育てるなどの努力をしています。
「まだまだ、試す余地があるな」と水やりや土壌、温度の管理とともに、来年の収穫に向けて早くも試行錯誤が始まっています。



6月から11月にかけて次々と実をつける
福原さんの
「ドラゴンフルーツ」
様々な植物の栽培に取り組む福原輝夫さん。

ぎしりとつまった種と果肉。
 赤い果肉に小さな種がいっぱい。キウイフルーツに似てさっぱりとしたトロピカルな味わい。中南米原産のドラゴンフルーツが三芳の「夢の花かん」で約200鉢栽培されています。
 サボテン科の植物で、毎年、6月から10月にかけての夜に「月下美人」に似た大きな白い花を咲かせます。「だいたい満月と新月の夜に咲くんだよ。しかも、その一晩だけ。見事だねぇ」と福原輝夫さん。開花してから赤い実をつけ約30日で収穫。「果物って年に一度実がなるでしょ。ところが、ドラゴンフルーツは14〜15回も実るんだよ」。ビタミン、ミネラル、食物繊維などを豊富に含むこの果実。不思議なパワーが秘められているようです。冷やしてスプーンですくう食べ方が一般的ですが、ミキサーにかけてジュースにすると、種まで細かくなって消化吸収が良くなるそうです。
「夢の花かん」では、電話予約をすると、試食(ハーフカット400円)ができます。また、1個800円で販売しています。

問)夢の花かん
南房総市大学口191
電話0470・36・2205



小笠原から取り寄せた苗が一年で見事に結実!
鈴木さんの
「パッションフルーツ」
イチゴ農家の鈴木光雄さん。

収穫期を迎えたパッションフルーツ。

パッションフルーツの花。

果実の中身。名前の由来は宣教師がこれを発見した際、十字架にかけられたキリスト受難(Passion)の姿を連想したため。スプーンですくってそのまま食べるほか、ジュースにしたり、香りの良さから、シロップとして、スイーツやカクテルにと幅広く利用されます。

 館山市大戸のイチゴ農家・鈴木光雄さんが栽培しているのはブラジル原産の熱帯果実「パッションフルーツ」。数年前、鈴木さんの友人が父島から持ち帰った苗を植えっぱなしにしておいたところ、見事に果実を付けたので「ちゃんと育ててみよう」と思い、昨年、ハウスまで組み上げ、育て始めたのだそうです。
 この果物、花弁、果実ともに特徴的な形をしており、クダモノトケイソウとも呼ばれる所以である花弁は、その形の特殊さから観賞用にも栽培されています。また、一見普通に見える果実も、割ってみると、オレンジ色の奇妙な形の袋がびっしり入っていて驚かされます。
 香りは、まさに「トロピカル」そのもの。胸いっぱいに吸い込むと何とも言えない安らぎを感じます。味も、酸味と甘みのバランスが心地よく、口に入れると、南国のリゾート気分に。
 鈴木さんは「いたずらでやってる」と言いますが、味の改善のため、肥料の調合や剪定など、かなり研究を重ねている様子。現在専業でやっているイチゴと、重ならない農期であるため、イチゴとの二本立てで観光農業として展開することも考えているとのこと。数年後、新たな名物観光農業が誕生するかもしれません。



熱帯植物の楽園で見つけた野菜のような果物
南パラの
「スターフルーツ」
スターフルーツを手に持つ小川恭弘さん。

実をつけたスターフルーツ。

たわわに実ったバナナ。今年は生育がいいのだそうです。食べられるまでにはもう少し。南パラで見られるトロピカルフルーツの一例です。

アメダマノキ。ツヤツヤとして飴玉のよう。蝋細工のようでもある。ピクルスやジャム、ゼリーなどに利用され、ピクルスは酒の肴にうってつけ。寒さには強い方。

キミノバンジロウ。グアバの仲間。バンジロウはグアバのこと。ジャムなどに利用されることもあるとか。
 5000種類の植物が見られる植物の宝庫・南房パラダイス。連続する温室には珍しい熱帯の植物がズラリと並んでいます。大温室の「熱帯果樹コーナー」には熱帯の果実が実っています。
「今年はバナナが豊作でたわわに実りました」とは6人の植物管理グループのひとり小川恭弘さん。バナナは高さ3mほどろの高さの所に、5、6段の房をつけていました。
 数あるトロピカルフルーツのなかでも注目はスターフルーツ。「正式名称を『ゴレンシ』。切り口が色鮮やかでキレイ。タテに切ると星形にみえることから、この名前がついているそうです」。沖縄では庭先に植えられていることも多いとか。いままではあまり大規模栽培はされていなかったのですが、甘みの強い品種が登場してから栽培も盛んになってきたのだそうです。しゃきっとした歯ごたえで、冷やして食べるとおいしいそうです。ほかにも、ブラジル原産のキミノバンジロウ、アメダマノキ、ドラゴンフルーツ、マンゴーなども実り、トロピカルフルーツを観察するには絶好の時期を迎えています。

問)南房パラダイス
電話0470・28・1511



イベント情報
子どもたちへ、夢を育むステージを届けて18年目の夏。
第18回南房総人形劇フェスティバル
8月19日(土)まで開催中!
会場・とみうら元気倶楽部ホール
(南房総市富浦町・道の駅とみうら枇杷倶楽部前)
天井が高くゆったりとした空間の元気倶楽部ホール

本番を前に最後の稽古。左手は人形を操作する小宮幸治さん

大人も楽しめる人形劇のステージ

最終日には文楽の公演も開催
 すっかり富浦の夏の定番となった「人形劇フェスティバル」が、今年も9日間にわたり開催されています。連日、子どもはもちろん、大人も楽しめる熱気のこもったステージが繰り広げられています。
「劇団は20代の若いメンバーも含めて、総勢10名程度のスタッフで運営しています。若いメンバーはここ数年、ベテランメンバーは10年以上、富浦に来ています」。そう話す地域の人形劇文化をリードしてきた劇団・貝の火(主宰・伊東万里子)のメンバー・小宮幸治さんも、富浦が15年目というベテランです。劇団・貝の火では、人形師と呼ばれる人形制作、衣装、照明、美術、音楽の各担当と役者で構成されています。
「規模は異なるものの人形劇もほかの演劇と同じ陣容。舞台の魅力もほかの演劇と変わらないと思います。人形を通じて物語を演じ、それを観る人がいる。演じること、伝えることの難しさや楽しさがある。それに加えて人形劇は操作がうまくいった時の、技術的な感激もあるかな…」。
 日頃は、全国各地を公演でとびまわる一座。富浦での夏が終わると、秋は保育園や幼稚園、学校などでの公演が多くなります。
「今回は、新しいホールでの初公演。劇団員も新鮮な気持ちで取り組んでいます。今までより広く、人形劇がより見やすくなりましたし、ぜひ、多くの方に観にきて頂きたいですね」。
 会場となる「とみうら元気倶楽部」は、今年1月にオープンした地域交流などに利用されている枇杷倶楽部に隣接した施設。ホールは、建設の際に、四国・香川県にある「人形劇専用ホール」を視察に行くなど人形劇の上演を意識した設計を心がけたそうです。このホールだけでも一見の価値あり。エントランスには「足湯」もあり、住民や観光客がくつろぐ姿も見られます。主催者で、施設の管理者でもある南房総市教育委員会では、夏のイベントとして人形劇文化を広めようという思いがあり、広範囲の方にぜひ観覧してほしいとのこと。富浦で育った文化が南房総に広がるスタートの年。

問)とみうら元気倶楽部
電話0470・33・3411



第12回全国大学フラメンコフェスティバル in 館山
8月12日(土)開演14時、終演17時30分(予定)
会場・千葉県南総文化ホール(大ホール)
 全国の大学からフラメンコサークルが一堂に会し、日頃の成果を競い合うフラメンコの祭典。館山のフラメンコ愛好者達による群舞も行われます。入場無料ですが、入場整理券が必要(当日会場でも配布します)。当日17時から会場前芝生広場で館山商工会議所青年部による「納涼産業まつり〜Hace mucho calor〜」も開催。

問)全国大学フラメンコフェスティバル実行委員会
電話0470・22・3698



千倉黒潮観光花火大会
8月13日(日)19時30分〜20時30分
会場・千倉漁港(南房総市千倉町平舘)
 数ある南房総の花火大会のなかでも帰省客の多いお盆に開催されている花火大会。打ち上げ場所は千倉漁港の中央付近。約2千発の花火が夜空と海辺を彩ります。千倉町商工会のある漁村センター周辺が見物場所。南千倉海水浴場あたりも、砂浜にシートを敷いてのんびり花火を眺められる花火ポイント。当日は17時45分から19時25分まで漁村センターそばの特設ステージでライブも開催。出演はRUNA、OUTDRIVEほか6組が出演。雨天の場合は14日、15日に順延。

問)南房総市観光協会千倉支部
電話0470・44・3581



飯田裕子写真展〜南房総の断片〜
開催中〜8月31日(木)11時30分〜15時、17時〜20時
会場・カフェフロッタン(南房総市千倉町川口)
 プロのフォトグラファーとして国内外各地へ飛び回り撮影を行う南房総在住の飯田裕子さんが、千倉町のレストラン「カフェフロッタン」で写真展を開催中。今回はレストランでの展示ということにちなみ「料理する」ということを意識したコラージュ写真の作品群。初の試みというコラージュ写真ですが、撮りためられた「南房総の断片」が素材として扱われ、一枚一枚のプリントへと見事に料理されています。東京代官山のフランス料理店「シェ・アズマ」の姉妹店として定評のある同店で、お茶や食事をしながら、鑑賞することができます。

問)カフェフロッタン
電話0470・43・8073



ART FOR THE EARTH 2006
〜安房・平和のための美術展〜
8月19日(土)〜27日(日)10時〜17時(最終日16時)
会場・枇杷倶楽部ギャラリー
 絵画やイラスト、陶芸など、会派やジャンルを超えた作家たちが、平和と地球のためというコンセプトで作品を制作し、売り上げの一部を「かにた婦人の村」と「ウガンダの恵まれない子供たち」へ寄付するというチャリティー美術展。
 昨年に引き続き第2回となる今回。安房からも平和への思いを発信しようと開催の主旨に賛同して集まった61名のプロ、アマのアーティストが参加しています。多様な個性がぶつかりあって、一つにまとまったまたとない美術展。初日の8月19日3時からは、一品持ち寄り、グラス、はし、皿持参のエコオープニングパーティーが行われます。

問)実行委員会事務局(橋本さん)
電話0470・29・1290



MUGI Brazilian Music Live
8月20日(日)開演18時30分
会場・レストラン「一粒の麦」/料金・2000円(ワンドリンク付)
 ジャズフルーティスト・ 深津純子さんのサポートでもお馴染みのギタリスト、キャピタルをフィーチャーしてのブラジル音楽のライブ。サポートミュージシャンとして出演する時にも、時折スポットで登場する彼のソフトでスイートな歌声は一聴の価値有り。
 バンドメンバーは、KJ rhythm factory主宰で、地元サンバ隊のリーダーも務める中西啓二郎さん(drums)と、ピアノトリオ「宴」のベーシスト、やぢま・ゆうぢさん。
 夏によく合うブラジル音楽を実力派ミュージシャンの演奏で。

問)レストラン「一粒の麦」
電話 0470・23・8210



JAZZ LIVE
森本純雄トリオ
8月27日(日)開演19時30分/会場・じゃず屋マミー
料金・前売 4500円 当日 5000円(ワンドリンク付)
佐藤 雅史

森本 純雄

二本柳 守
 キャリア30年以上、ひたむきにジャズを演奏し続けてきた円熟のジャズメンによるライブ。80年代にニューヨークに渡り凄腕ミュージシャンとのセッションを重ねてきた経験を持つピアノの佐藤雅史はジャスト50歳。ドラムはマモさんこと二本柳守。市川秀雄3、今田勝3などのほか、スタジオ、テレビなど多方面で活躍してきた大ベテラン。それにやはりジャズ一筋に歩んできたベースの森本純雄が加わり円熟のサウンドを聴かせてくれる。会場は館山市新宿新町の花清の前。

問)じゃず屋マミー
電話080・1070・1356


[トップページへ戻る]